現地の瑕疵、見て見ぬふりは事故の元!?元田畑の取引は要注意!

トラブル・クレーム解決事例

「昔は田んぼだった」という宅地の取引があり、解決するのにかなりの労力を費やした経験があります。

現況にその名残が全くない場合は問題はありませんが、名残がある場合はかなりの注意が必要です。

広さもそこそこあったため、開発許可等の申請も必要な物件でした。

相場より高めの値段設定だったため、なかなか引き合いもなく、知人である分譲業者Hさんが買ってくれることに...。

あの手この手で物件を動かす宅建業者

どうやら当物件の奥にある田を抱き込んでの購入を考えているようで、そこまで私も考えが回っておらず、その業者はその田の所有者である隣接のお年寄り宅に手を回していたようです。

´う~ん、なかなかやり手だなぁ~´と思いながらも、高額な取引だったため、浮かれていました。

そして、売れるまでの期間、何カ月もあったにもかかわらず、見て見ぬふりをしていたことが一つあり、それは、当物件の端っこに一つの「溜桝(ためます)」があったのです。

その大きさ、縦横60㎝×60㎝位ものでした。

冬頃に媒介契約を締結したと思いますが、そのときは後で大問題になるとはつゆ知らず、´んっ、なんかあるなぁ、ま、問題はないだろう´としか思わず、´まだ売れるかどうかも分からない´ことを言い訳に見て見ぬふりをしていました。

そして、6月頃にその宅建業者から買い付けが入り、それから契約に向けての準備、契約が終わってから測量の立会いが行われたのが確か8月頃だったと思います。

決済前に大問題発生!

その時期の田んぼは実も生い茂り、水をふんだんに使用する時期です。

立会中、誰かが「この溜桝から水が流れてきているよ」とのこと、私は慌てて「うわっ!どっから流れてるんだ」
と思い、土地の周りを見渡すと、道路を挟んだ上方の約200m先の田んぼから水が流れてくるのが見えました。

私は急いで道路を渡ってその田んぼに行くと、田の用水として利用している水が側溝へ溢れんばかりに流入していました。

私はその用水の行先をたどると、見事に当物件まで続いているではありませんか!

´わぁ、これは簡単にはせき止める訳にはいかない!、しまったなぁ´と呟きながら策を練りました。

売主にもその旨を伝えると、「昔は田んぼだったので、そのときに引き込んでいたのかもねぇ、簡単に止める訳にもいかない物だから、何とか解決をお願いするよ」旨の回答。

不動産仲介業者の存在意義

当事者である売主としては「高い手数料払うんだから解決してよ」と思うのが当然です。

それを解決するのが我々不動産屋の仕事でもあります。それをやらなかったら不動産屋なんて不要です。

まずは、流入させている田んぼの所有者へご挨拶、「今度、下の土地を売却することになりました」と伝えると、
「あぁそうね、でも水は流さないといけないから、勝手に溜桝をなくされると困るよ、この水をせき止める事は簡
単だが、どこに流せばいいの?その物件の下にも田んぼがあってその人も利用しているんだよ」と言われ、完全にトホホ状態。

確かにそうです。田んぼの水は共有しているもので、上から下へいくつもの田んぼで利用されて最後は川などに流れていく構造。途中で止める訳にはいきません。

当物件までの200mの間、何度も分岐する桝があることを確認するも、一筋縄ではいかない様子。

他業者の名案によって解決

そんなとき、隣接するお年寄りに接近していた不動産屋さんと遭遇、困っていることを伝えると、「あぁそりゃ大変だね、俺も絡んでいることだから取引が出来なかったら困る、何とか考えよう」としばらく周辺を見渡すと、「あぁ、いい方法があった!」と名案が浮かんだ様子。

そのお年寄りの自宅は当物件と隣接しており、その溜桝までの排水管もそのお年寄り宅の土地を通過しており、その他業者からのアドバイスは、

「どうせ、あの年寄りは後先そんなに長くはない、土地の一部を利用させてもらったからと言ってどうこうは言わ
ないだろう、お願いしに行こう」という事で、二人でお年寄り宅へ訪問、その旨を伝えると、あっさりOKが出ました!

要は、お年寄り宅の土地に排水管が通過してるため、その途中から分岐させ、道路へと排水させるということ。
もちろん、工事費は売主負担、そして、土地を利用させてもらうという利用料10万円を支払う事で話は決着。

もしこの話、お年寄りの土地が絡んでいなかったら...。と思うとゾッとします。お年寄りとしても、´自分の土地が売れることを条件に当物件を買う´という買主からの条件だったため、売れなかったら困るわけですね。

結果論としてうまくいったわけですが、´見て見ぬふり´は大事故の元です。どっちみち事故にはなっていた案件で
したが、トラブル解決は早いに越したことはありません。

皆さま、ご注意ください。

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