社内でも囲い込みがある?売却したい売主、買いたい買主への背任行為

トラブル・クレーム解決事例

社内手別れという業界用語があります。

「なんのこっちゃ?」と思われると思いますが、物件というのは世の中に一つしかなく、そのために業界内で生まれた造語です。

専任媒介での一般的な話

その1つしかない物件を売主さんから直接「売ってくださいね」と言われてお願いされる担当営業マンが社内で1人います。

同じ社内に何人も担当営業マンがいるということは通常ありません。というかありません。担当が何人もいたらややこしいですからね。

一般媒介とは意味が違います。あくまでも〇〇不動産1社だけに依頼する専任媒介の話です。

専任媒介は1社にしか頼むことができませんので、担当になった営業マンは物凄く頑張ります。

もしその営業マンが、ストックしているお客様名簿を持っていれば(普通は持っています)、依頼を受けたその日から、がむしゃらにお客様へ連絡します。

「こ~んないい物件が出ましたよ!お客様にピッタリですよ」ってな感じです。

そこでお客様が食いついて「あ~それいいね」っとなれば、その営業マンは小躍りします。その理由は簡単です。

両手契約を最優先させる?

売手側、買手側の両方から手数料をもらえる、いわゆる「両手契約」となるから営業マンは頑張るのです。

ですが、大きい会社、でなくとも小さい2,3人以上の営業マンがいる会社であれば、次のような事が起きるのが現実です。

売主から物件を預かってきたことを業界用語で「物(ブツ)上げ」と言いますが、物上げ営業マンは個人の売り上げを最大限に挙げるため必死に頑張るわけです。

物上げまでの過程と言えば、チラシの考案、作製から始まり、印刷、折込、反響、査定、商談、競合との戦い、自分の売り込み、1日ですぐに預れる場合もありますが、長い時は何年もかかる場合もあります。

忘れたころに「あのとき査定してもらった者なんですが」と電話がかかってくることもあります。

そうやって物上げまでの過程というのはそんなに簡単なものではないということがお分かり頂けると思います。

媒介契約後も重要な調査

そして、物上げ後の「調査」です。これが非常に重要なことはこれまでに何度もブログに書いてきましたが、役所調査、埋設管調査、現地調査、近隣調査をして初めて物上げ完了となります。

それからが本当の販売開始です。それでやっとの思いで物上げした物件を、まず誰が知りうるのか?

それはまず上司であったり同僚であったり、社内の営業マンです。

そして満を持して、「さぁこれから販売!」というときに、隣の席に座っている同僚が横目でチラリ、「ん?いい物件ですね?お客さんいますので、紹介していいですよね?」とこうきます。するとどうなるか?

答えは、その担当営業マンの性格の問題になってきます。

営業マンによって物件の売れ行きが変わる?

営業マンA:「数字が絶対」の完全実力主義、売上至上主義のイケイケ営業マンタイプ
営業マンB:「数字は二の次、売主さんのために早く売って差し上げよう」となる思いやりのある営業マンタイプ

Aであれば「あ~これね、もうお客さんいるから(本当はいないのに)、残念、ダメになったら言うね」とこうきます。

Bであれば、「あぁ大丈夫よ、お客さんよろしく!」となります。お互い様ということをよく知っているからです。

あなたでしたら、どちらの営業マンに依頼しますか?言うまでもなく、もちろんBですよね。

ですが、悲しいことに、Aのほうが売上は上がるんですね。物件を囲い込むタイプです。

Bは悪く言えば「人が良い」とも言えますが、人望がありますので、長~~い目で見ればBタイプのほうが息が長い仕事ができるのかもしれません。

私はどちらかというと、会社勤務時代でも、独立している今でもBタイプです。これは別に自慢でもなんでもなく、性格です。

そんなにガツガツしてやっても息が短かったら意味がありません。地場に根付いて長くやろうと思えばBでコツコツやるのが一番だと思います。

なんか嫌ですねぇ、社内での囲い込み、これは売主買主双方に対する背任行為とも捉られます。

でもこれが現実の世界です。悲しいですね...。

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