社会問題化している空き家放置、我々はどうしたら良いのか?
連日何かと報道されている空き家問題を考えましょう。
近年空き家に関する注目が集まっています。というのも空き家の数は2013年末時点で実に800万個以上存在、かつ今でも年に30万戸以上の勢いで増えて続けています。
今は900万戸くらいあると言われ、それにともなう環境悪化に対する苦情も増えていますよ。
特に去年ですが、空き家のより厳格な管理を義務付ける空き家対策特措法という法律が施行されました。
民泊の問題も絡めて論じられていますが、いろいろ話題を呼んでいます。
しかしながら空き家問題はすっきりとした解決の道筋が見出されていません。
空き家については防犯・防災上の問題、不法投棄や景観を害するとか、多岐にわたる弊害が指摘されています。
空き家と一言で言いますが、その内容や背景は様々です。
賃貸用の住宅、売却用の住宅、二次的住宅、その他の住宅
空き家も種類がありますね。そのうち賃貸用住宅や売却用住宅の空き家はそれぞれの取引に際して一定の期間、空き家の状態等であることは避けられません。
借り手や買い手がいなかったら自然と空き家になるわけですから、次の借り手・買い手もいなかったらその一定の範囲では必要な空き家も、管理がされるというように期待していいと思います。
二次的住宅というのは、別荘をイメージしていただけるといいと思いますが、一時的に泊まるなどです。
「その他の空き家」が最も多い
生じる背景というのは様々、高齢化を背景として所有者が死亡したり、入院したりするケース、そのほかでも後継者の転勤や転職がそれに続きますね。
そういった事情から空き家となった物件は転売されたり転貸されたりすれば空き家にならないで済むわけですが、所有者が将来の活用を考えてそのままにしたり、あるいは貸したい売りたいと考えても実際には借りて買い手が付かない、それらの修復コストの負担、貸すにしても売るにしても「修繕費用が掛かる」等となると、二の足を踏みます。
それからまた相続が絡む場合は、権利関係が複雑で手が付かない、というケースもありますね。
建物を解体して更地にすれば少しは売りやすくなるし、防犯上あるいは景観上の対策にはなるかもしれないわけですが、しかし、廃棄分も含めた解体費用がかさむことも懸念されます。
更地にすると固定資産税がアップ
更地にすると固定資産税もぐんとアップします。こういった問題もありますので、結果、空き家のまま放置されるケースが後を絶たない。
こうした空き家の増加を自治体や政府が別に放置しているわけではなく、税制上の特例や空き家条例、空き家対策特措法によって譲渡を促したり、管理の適正化のための指導や解体の促し、それから建物を残すことによって固定資産が安くなるなどのメリットを狙うケースが多くなるため、そういうメリットの取り消しなどを含め対応を行っています。
しかしこういった対策の条件が整うケースばかりではないということと、1件ごとの所有権者の特定から始まって、実際の処分に至るには長い時間と大変な手間を要する、したがって、目に見えた効果というのを期待するのは難しい、じゃあそれではほかの何か有効な解決策はないのであろうか、問題の本質を見極めるためにシンプルに考えましょう。
空家になる方程式が存在
日本では1960年台後半に住宅の総数が世帯総数を上回ったんですね。そのあとの空き家件数の増加というのは公式によって表せます。
それは空き家の増加数というのは新築戸数から解体戸数を引いて、そこに世帯数の増加した数をマイナスする。
つまり
新築戸数
解体戸数
世帯増加 の3つの数が問題なわけです。
ようするに世帯数が増加すれば、それだけ家の数が必要になりますから空き家は増えないわけですね。
新築戸数が増えれば家全体が増えるわけですから、解体戸数が増えれば空き家は減りますね。
空家が増える要因
このうち、人口は頭打ちなんですが、世帯数は、核家族化、単身世帯の増加によってまだ増加基調にあり、平成25年度も前年比で約40万世帯増加しているんですね。
一方解体戸数というのはバブル期には30万戸、近年では12万戸らしいです。
新築の住宅需要というのが約55万戸で、それに対して実際の新築戸数というのは100万戸前後らしいです。
つまりこの差が空き家増加につながるんですね。
空家問題の解決策
世帯数は政策ではコントロールできないとすると、空き家問題を解決するためには新築戸数の抑制か解体戸数の増加が必要ということになる現状、自治体や政府は管理されない空き家の解体の促進を中心とした対策を講じています。
ですが、これが果たして望ましい唯一の解決になるのだろうかと考えると、もう少しほかに方法があるのではないか?
空き家問題をシンプルに考えると、新築戸数と解体戸数のコントロール、現状の対策は解体のほうに集中しているんですが、これが本当に解決になるのかもう一度考える必要があると思いますね。