インスペクション(建物検査)の説明義務が課されますが、実施義務はない?
宅地建物取引業法の改正により、宅建業者(不動産会社)が説明する重要事項説明書という書類の中でインスペクション(建物検査)の説明義務が課されることになりました。
これは建物の検査をしたかどうかを説明するものであり、あくまでも検査をしたら「検査した」と説明して、その内容を説明しないといけないというものであり、検査の実施を義務化しているわけではありません。
空家対策の一環
それは中古住宅の流通の活性化を図る空き家対策の一環であり、手段とも言えます。
これが宅建業法に盛り込まれたということは、空き家対策推進の意味では大きなことだといえます。
このインスペクションを我々仲介業者が業務の一環とし、セット化することで他社と差別化を図る業者が増えてきたことは事実ですし、これからも増えてくると思われます。
ここで一言、これから中古住宅を買おうとされる方に申し上げたいのは、「インスペクションをしたからといって必ずしも中古住宅は安全ではない」ということです。
インスペクション調査は良し悪し?
この条項が重要事項に盛り込まれたからといって、業者によっては「すごく大事」との声が上がる一方で、「中古住宅なので多少なりとも欠陥があって当然、それを了解のうえで買ってもらうのが前提、あくまでも現状渡しなのでする必要はない」という業者も多数いるのが現状です。
これについては賛否両論です。フェアと言えばフェア。そして、知らないことまで知ってしまう。
知ったが故に余計な費用が掛かって購入動機に多大なる影響が出た」というケースもあるでしょう。
悪意で告知しないという事とは別物
一方で、売主側にも同じことが言えます。「その診断をしたことによってどうでも良い事まで知らせる羽目になり物件が売れなかった」というケースにもなり兼ねますので、そうなると本末転倒です。
安全な取引を心がけるというのは当たり前の事ですが、流通性の問題を鑑みるとかえって逆効果にもなりかねません。
人というのは不思議なもので、後でかかってくる費用というのはあまり気にしないという傾向にあります。
トラブル防止と、中古住宅促進という目的でできた業法内での法律だとは思いますが、穿った見方をすれば一つのパフォーマンスとも捉えられがちです。
これが果たして吉と出るのか凶と出るのか、注目すべきことではありますが、すべては売主買主の希望・要望によって対応することが望ましいのではないかと思います。
それが私の意見です。ご用心くださいね。