やはり曖昧な事故物件の告知義務、国が指針案を公表してもやっぱり曖昧
人間、誰しもが死を迎えます。どこかで必ず亡くなります。
人生は一回しかありません。
死ぬとき、それは偶然的に突発的に訪れること以外、亡くなる場所はほとんど決まっています。
自宅か病院です。
今はコロナ禍ですので、なかなか病院にも入れないと思いますが、病院に入ったとしてもご家族の面会に制限がかかり、かなり厳しくなっています。
ですので、これからは自宅での死がかなり増えることが予想されます。
売却理由は必ず聞く
そこで、我々不動産業者が「売りたい」希望を出された売主より依頼を受けた際、真っ先に聞くのが´売りたい理由´です。
何かの理由があって売るわけですので、理由もなく「ただ単に売る」というのはよっぽど大金持ちか何も考えていない方と思われます。
売る理由は人それぞれですが、口ごもる人に対しては「事故物件であればおっしゃってください、あとで高くつきますよ」と半ば脅しながらでも聞くわけです。
すると、「自殺」とか「原因不明の死」と判明することがあります。
その際には詳しく「いつ?どこで?いつ発見しました?」と深く突っ込んで聞きます。
詳細を聞く理由は、次の買主に伝えるためです。それを黙って売るわけにはいきません。
黙って売れるものであれば本当はそれが一番いいのです。それは売主にとっても買主にとってもです。
売主は「売れれば良い」わけで、買主は「買ったあと平穏無事に暮らせればよい」わけです。
物的瑕疵(欠陥)が無ければ余計なことを知らないほうがよいわけです。
´死´というのはあくまでも心理的なもので、未来永劫知らなければそれが一番すんなりいくわけですね。
ですが、そうはうまくいきません。
事故物件を知らせないといけない最大の理由とは?
周りの人が知っているからです。
田んぼのど真ん中にポツンと建っている家であっても近所付き合いがないわけではないと思います。
その自宅で誰かが亡くなれば救急車やパトカーが来たりするわけです。すると何かしら分かるわけです。
すると噂が立ち、周知の事実となるわけです。
何も知らされていなかった買主は周りから必ず耳にするわけです。
「あなた、ご存じの上で買われたのですよね?」と、すると買主は「はい?何のことですか?」と。
すると大きなトラブルになるわけですね。わざわざピンポンを押してまで言ってくる人がいます。
それが告知義務の最大の理由です。
国交省の指針とは?
- 老衰
- 病死
- 自然死
- 転倒死
- 食事誤嚥などの不慮の事故死
以上は告知義務の対象外と明記したわけです。
少し曖昧な追記があり、´死者が長期放置され特殊な清掃を行った場合は告知対象´と。
その長期とはどれくらいの期間なのかが分かりませんし、賃貸物件の際は「おおむね過去3年以内」となっています。
結局、明確な線引きと言うのは分からないというのが本音で、つまり、線引き自体が不可能という事です。
曖昧な場所での死は告知義務?
あと不明確なことがあり、
- バルコニー等からの飛び降り(マンション)
- 棟内の別住戸での死(マンション)
- 隣接住戸での事件死、事故死
- 数十年前建っていた建物内での事件死
- 前面道路での事故死
- 戸建の駐車場内での事故死
これはかなり難しい事案です。
不動産業者の調査義務はどこまで?
対象の事実があったかどうかは、業者が通常の物件情報の収集範囲内で、家主への聞き取り確認だけで良いとなっております。
これには疑問を呈します。家主が長年住んでいなかった場合です。
- 隣接住戸内で凄惨な殺人事件
- 向かいの空き地内の一家無理心中
- 他人が庭に勝手に入って焼身自殺
すごい極端な事例かもしれませんが、じつは長年この業界にいると、すべて私も経験しているわけです。
お隣さんから聞いて初めて知ったことだったりもするわけです。
「う~ん、これは売主から聞かなかったとしてもお隣さんは知っている、どうしようか...」と葛藤があるわけです。
カツキは知っていることはすべて話します。
はい、知っていることはすべて話します。´さすがにこれは関係ないよ´と思われること以外は。
でないと、あとでしっぺ返しを食らいます。
なので、安心して購入されて結構だと思います。
トラブルにならないように不動産仲介業者がいるということです。トラブルを起こす不動産屋もいるので、お気を付けくださいませ。