地中にガラが埋まっていた衝撃の瑕疵事例,建築中に分からなかったのか?
昔の査定事案の件で、これまで聞いた事のない瑕疵(欠陥)がある案件をご紹介します。
某大手ハウスメーカーの建物
誰もが名前を知っていて、全国にその名を轟かせるハウスメーカー、おそらく売上だけで言えばトップクラスでしょう。
その会社が建築したある豪邸があり、その家を見ていただきたいという査定依頼がありました。
その方は公務員で転勤があるとのことで、1年後には転勤の可能性があり、できれば売りたいとのことでした。
南面道路で土地は100坪弱、築年月も古くなく、ガレージが付いた新築同前の立派な豪邸でした。
私はそれを見ただけでテンションマックスでしたが、売主は何やら深刻な顔付き、「どうぞ」と応接室に案内され、話を聞きました。
土地に驚愕の事実(欠陥)が判明した
売主の話では、「じつは建築してから数年経ったとき、ある事情で庭の一部をスコップで十数㎝掘った際、何やらビンらしきものが出てきたんですね。『ん?なんかおかしいなぁ』と思い、周りを掘るとビンや缶々が出るわ出るわで大変でした。その一部かと思いきや、敷地内の端から端まで掘ると、どこを掘っても出るんですね」と。
私は「〇〇ハウスさんにはその事を言いましたか?」と聞くと、「もちろん言いました。すると、『それはまったく把握していない事で対応できない』と言われ、弁護士に相談して訴訟するかどうか検討中です」とのことでした。
地中内の瑕疵(欠陥)は告知義務が当然ある
この事例では、売主と建築会社との問題であり、最終的にはお金の問題で解決する事案ですが、耐震に問題は無く、物理的な瑕疵と言えど心理的な瑕疵の要素が強い事案でもあります。
何せ数年間、何事もなく住んでいたという事実があるため、もし知らなかったらそのまま何事もなく住んでいた訳ですから。
ですが、そういった事実を知っていて次の買主にあえて告げなかったとなると問題がありますので、間違いなく告知義務があります。
しかし、どこからそのような´ガラ´を業者が持ってきたのか?造成業者の確信犯であることに間違いはありません。
そして、基礎工事の着工前には「床掘」といって土を掘り返さないといけません。その際、業者が必ず気付いているはずで、そこでわざと〇〇ハウスに言わなかったか、もしくは言ったが相手にされなかった、見て見ぬフリをされたのか、そのどれかということです。
それだけ広範囲に渡ってガラが埋まっているというのは普通ではあり得ません。極一部がそうなっていたというなら問題は無いでしょうが、絶対気付いていたはずですね。
このように建設工事期間中に問題が発覚した事案、その全ての責任というのは〇〇ハウスです。事業主ですから、監視・監督する立場にある以上、責任は取らないといけません。
査定金額はいくらになった?
土地の欠陥を知った以上、その分に相応する値を価格に直し、そもそもの査定額から引かないといけませんが、かなり特異な案件で、「耐震には全く問題なく住める」ということであれば、大幅な値引きというのは難しく2割~3割引きでの査定額と予想し、ある程度は「これくらいではないでしょうか?」と提案しました。
転勤が絡んでいるとのことで、それが決まれば依頼する旨でしたので、数カ月後にその後の経過を確認しようと連絡した際、電話がつながりませんでした…。
ま、皆様も十分お気を付け下さい。