地盤改良工事費用は買主負担?別の条例があれば十分に説明が必要です

不動産に関するお困り事・ご相談事

買主に説明する「重要事項説明書」という書面の特約事項に定型文のようなものを入れることがあります。

お決まり文句みたいなもので、形式的・事務的に入れているような文言です。

定型文章はそのほとんどがコピペ

「隣接地は第三者所有のため将来建築物が建築される可能性があるため、日照・通風等に影響がある」とか、

「建築を依頼した施工業者等から地盤調査等が要請されることがあり、その結果によっては地盤補強工事等が必要となる場合があり、調査費用および工事費用は買主負担となります」などです。

これは当然の事であり、買主としても十分理解したうえで購入をするわけですが、一見分からないということもあります。

前者の場合、隣接地がない物件というのがこの世にあるのかどうかは分かりませんが、四方八方、将来に渡って建物が絶対建つことがない土地というのは存在しないため、当たり前のことを書いているだけです。

これって「そんなこたぁ分かっているよ」と思われても書きます。その理由は、「あぁだこうだ」と何かにつけて難癖を付けてくる買主が少なからずいるという実情があるからです。

重要事項説明は自分の身を守るため?

そうです。こういった文言というのは買主のためではなく、不動産業者が自身を守るためのものなのです。

これを書いておけば、後でどんな建物が建設されようと、「このように重要事項説明書に記載もあるし、説明も
していますよね」と言うことができます。

後者の場合、高低差があまりない通常の土地であっても記載する内容で、これも当然のことです。

しかしながら、過去のトラブル事例の中で、がけ条例というのがあり、買主が心配して「大丈夫なの?」と聞いた
ところ、業者が「たぶん大丈夫だろう」という回答をした結果、がけ条例が適用されることが判明し、木造建築が
できず、RC構造とする必要があり、そのための追加工事費用が発生することが分かったというものです。

説明義務違反に問われる?

この判例では、買主側が瑕疵担保責任を求めて、工事費用を請求したところ、裁判所としては、「本件土地と隣
接地との高低差にかんがみると、がけ条例の適用があると判断される蓋然性が高く、がけ条例の適用の有無に
係る説明が不十分であり、またその説明内容は建築費用に影響しないとの誤解を生じさせるものであり、重要
事項説明義務違反が認められる」との見解を示しております。

本件での買主は木造建築を目的としており、後者の説明書きがなされていたとしても、「たぶん大丈夫だろう」と
いった曖昧な回答をしたという事と、建築プランを十分に聞き取りしなかったために、買主としては、予算の建築
費の範囲内で建築できると受け止められてもやむを得ない状況であったと推察できます。

よって、上記の判例では、地盤補強工事が必要であることは「隠れた瑕疵」にあたり、売主には瑕疵担保責任が
生じ、仲介業者には説明義務違反が認められたという事案です。

怖いですねぇ。皆さん、十分気を付けましょう。

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