どんな物件でも事故物件(訳あり)になり得る?未然に防ぐ方法はあるのか?

トラブル・クレーム解決事例

人は必ず死を迎えます。「嫌だ嫌だ!」とダダをこねても無駄です。

その死に場所の大半は「家」か「病院」です。

後者であれば何も問題はありません。最期には誰かが必ずみとる訳ですから。

しかしながら、前者が問題です。

自殺者が減ってはいるものの

先進国の中で自殺率(人工10万人当たり)からすれば日本が第一位ということをご存知でしたか?

そして、交通事故死よりも圧倒的に自殺者のほうが多いのです。(じつに7~8倍!)

年間の自殺者数は公表されているだけでも3万人と言われていますが、じつは遺書がない死は「変死」扱いとされ、それまで含めると10万人を超えているという衝撃的な事実があります。

その自殺者数だけで言っても7年連続で毎年減少傾向にあるものの、それだけ人口も減っている訳ですので、自殺数が問題ではなく、自殺率が非常に高い事には目をつむることなどできません。

それは物件を所有しているオーナー自身、あなた若しくはそのご家族の誰かなのかもしれません。

これは病気で仕方なく逝ってしまうのとは訳が違い、自らの意思を持って「死」という選択肢を取るわけですので、実態把握の瞬間からその家自体が訳あり物件と化します。

誰が一番早く気付くのか?

家族住まいであれば、家族の一員が気付くのが普通ですが、一人暮らしの場合、身内の方が「連絡が取れない」と言って管理会社に連絡をしたりすることもあります。

我々が駆け付けたときには既に警察や救急車が来て物々しい雰囲気になっていることもしばしば。

そうなるともう周知の事実となり、その時点で初めて告知義務ありとしての「事故物件・訳あり物件・いわく付物件」となります。

周知でなければ、家族が悪意を持って「隠しておけば分からない」となりますが、周知されないようなことは滅多にありません。

これが「自然死」や「孤独死」ということであれば事件性がないという事で判断され、簡単な現場検証で済みますので、周りに知られない可能性は高いです。

オーナーとしての最大のリスクは空室だけではない

このように人の死というのは避けては通れないものであり、特に賃貸アパート等の集合住宅を経営されているオーナー様からすれば、いつどこで誰がその日を迎えるのか分かるはずもなく、何の前触れもなく突然その日が訪れます。

凄惨な他殺事件ともなれば、物件自体の将来的な影響は計り知れず、賃貸業としてはかなり苦しい状況になると思われます。

事故物件になった時からリスクは膨大で、どんな対策を講じても人の意思に反して人はやがて死を迎えるのです。

「住」という人間の営みに事故や事件は付き物で、そのすべて何もかもを覚悟して賃貸業を経営しないといけません。

その後の対処法としては

告知義務がある以上、大ごとだろうと何だろうと事故物件です。

「自然死だから大丈夫」ではなく、発見が遅れた場合、遺体の損壊が進み、部屋自体に大きな物理的損壊を残す可能性があるからです。

ほとんどの事故物件は心理的瑕疵と思われがちですが、痕跡が残った場合、これは物理的瑕疵となり得ます。

その被害額はご遺族や保証人に請求するという事になりますが、潤沢な資産をお持ちであればよいのですが、それがない場合は、オーナーの持ち出し(自腹)も有り得ます。

そして、修繕に関しての費用面で問題はなかったとしても、今度は空室を埋めるために家賃を下げなければいけません。

孤独死であれば一般的に「発見が早ければ言わなくても良い」という意見もあれば、「ちゃんと起きたことは周知の事実なので、伝えたうえで1~2割の値引きで対処」という意見もあり、明確な線引きがありません。

自殺であれば3割~5割引き、殺人であればそれ以上もしくは建物解体というのが一般的です。

事故物件は供養も必要か?

修繕費用や家賃の値引き以外にやらなければいけないことが。

それが「ご供養」です。管理会社としては「やらなくても良いのでは?」との提案をする事もありますが、亡くなった方の無念もあるのでしたほうが良いという事であれば供養も必要になってきます。

こういった費用もすべて大家持ちです。

以上の事から、空室リスク以上に考えなければならないリスクというのが伴ってきます。

空室に関して言えば、「安いんであれば気にしない」という人も一定数いますので、その心配はないと思いますが、家賃をどれだけ安くすれば「安い」と思われるのか、頭を悩ますところです。

告知義務はいつまで続くのか

これに関しては売買と賃貸で大きく異なったりしますし、地域性にもよってきます。

売買の場合、40年前にあった自殺物件を解体して更地状態にした土地を売却する場合でも、依頼主からの告知により知り得たため、それを告知して値引きして売ったケースもありますが、それが割と地方で、周りの数件の人物が知っていたという稀なケースでした。

賃貸の場合は、1度入居者が入れば次からは告知義務はないと言われていますが、それはそれで不誠実な部分があり、「知っていて伝えない」というのは悪意そのものです。

訳あり物件のメリットもある?

じつはこれもあるんですね。家賃が安いからいつまでも長く住んでくれるのです。

前述したように気にしない人はしません。「安ければよい」と言っている訳ですから。

そのような人にとってみれば激安物件にいつまでも住めるというのは絶好の条件ですからね。

それを考えれば、不謹慎かもしれませんが、いつまでも空室が続く高い家賃より、訳ありで安い賃貸のほうが利回りが良いのかもしれませんね。(すいません、不謹慎が過ぎました…)

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