空き家取引を市町村が仲介する?そうなると不動産屋はどうなる?
私はよく朝刊に目を通します。特に社会、経済、地域情報、総合と。番組もですが。
先日、いつもとは違う感じで目に飛び込んできた記事がありました。
空き家取引を市町村が仲介 2018年度から
上記のような見出しでした。ゲゲゲっと思ってよく読むと、国交省が発表したもので、地方都市の中心市街地などで増加傾向にある空き地や空き家を減らすため、買い手を見つけるのが難しい物件の取引を市町村が仲介するというものだそうです。
住環境の悪化を招く恐れがある物件に限る?
空き家そのものが放置状態にあれば、それだけで環境悪化の恐れがあります。
- 不法投棄
- 放火
- 事件、事故等々
不用心ですね。地方に行けば行くほど空家は目立ちます。
そういった物件を自治体の手によって、商店や公園などに有効活用してもらい、地域事情に合わせたまちづくりを促すのが目的だそうです。
タダでさえ無くなる職種と言われているこの業界
IT重説の試行に代表されるように、これからどんどん厳しくなる一方の不動産業界、AI(人工知能)の発達により、将来なくなる職業として不動産仲介業は常に上位にランクインされています。
そのような状況下の中で、市長町などの自治体が仲介業に乗り出すことは少しは予想されていましたが、本格的に乗り出してくるとなると、それこそ我々不動産屋の出番は無くなります。
ですが、私は心配していません。むしろ積極的に自治体が乗り出してほしいと思います。
その理由は、自治体は 営利目的ではないから です。
営利目的ではないという事はそれだけ流通が乏しくなるという事です。
宣伝費にもお金がかかる
我々は新規のお客様の獲得というのが非常に重要で、そのための「信用」というのが重要な職種です。
ですが、買主様からすれば「物件ありき」でもあるため、そのためには宣伝しないといけません。
宣伝費はタダではありません。費用が掛かります。
自治体が積極的に乗り出してきたとしても、その費用は税金です。
不動産仲介の宣伝費で税金を使っていたら、それこそ市民からクレームの嵐です。
なので、餅は餅屋ということわざがあるように、知識も経験も乏しい人が仲介に入る事すら非常にハードルが高く、結局は厳しくなると思います。
空き家バンクという制度はどうなった?
その朝刊の記事を見て私は少し違和感を感じざるを得ませんでした。
そもそも自治体は、空き家バンクという制度を設けているにもかかわらず、この記事ですよ。
空き家バンクというのは不動産屋がやっている業務をただ単に自治体がやっているというだけのことで、所有者と利用者との間をマッチングさせるという意味では、今回始めようとしている仲介業と内容は全く同じです。
ですが、空き家バンクは当事者同士の交渉や契約事には一切関与しない制度であり、結局は不動産会社が仲介に入ったりしているようで、私もじつはその依頼を受けたことが1度あります。
今回の制度では一体どこまで自治体が関与するのか?空き家バンクの名前を変えただけ?なのかどうなのか、これからの動向が非常に注目されますね。