相続登記って必要?いずれ必要なので早めにしておいたほうがラクです
相続登記、その名の通り、相続が発生した際、相続人が話し合いを行い、遺産分割協議書なるものを作成して、被相続人(亡くなった人)が所有していた財産を分けることです。
当然、所有している物は不動産に限らず、動産物に関してもそうですが、その中でも不動産を所有していた場合、名義を変更する必要があります。
「あっ!忘れていた」となったとしても、それまでの生活に支障を来すことも、何ら被害が発生することもありませんが、その利害が発生してくるのはその不動産を売却するときだけです。
その手続きは司法書士が行います。士業ですので「先生」と呼ばれる人物です。
私も宅建士という士業ですが、一度も先生と呼ばれたことはありませんが。
この相続登記、本当は相続人が力を合わせてできないこともないのですが、法律の専門化が間に入ることにより、問題が発生したときに的確なアドバイスをしてくれます。
相続登記は書類作成(書類集め)が大変
それよりも書類集め、これが大変です。相続人が力を合わせるといっても、一般人が戸籍謄本を大昔まで遡って取得することは非常に大変な作業になってきます。
男性が被相続人(亡くなった方)の場合、14歳まで遡って戸籍を取得しなければならないようです。なぜ14歳なのか?これは生殖能力が備わるのが法的に14歳だそうです。
書類集めの際、そこで万が一、認知した隠し子が発見された場合、その子供も相続人となり得ますので、その方の印鑑が必要になってきます。しかも実印です。
その方が近くにいればいいのですが、遠方にいて連絡も取れないとなるとアウトです。
相続登記自体ができなくなってしまいます。ですので、我々業者が売主さんと初めて面談する場合、必ず本人確認を行います。
よくあるのが、「親の不動産を相続したが、相続登記が未了」という場合です。大体の方は「大丈夫ですよ」とおっしゃってくれます。
ですが、これが非常に危険なんですね。経験則で申し上げますが、10件と1件いう非常に高い確率で、相続登記が不可能になります。
所有者不明の不動産を売却できるか?
そうなると、所有者不明のまま、つまりは所有者がいない不動産を販売することになります。
そのケースでもしすぐに買主が見つかり、契約をして、特約条項に「相続登記を行うことを条件」という文言を入れる不動産業者がいますが、 これは危険極まりない契約です。
その登記が10分の1の確率で不可能になった場合はどうなるのか?、売却することができないわけです。
すると、買主から見ればどうか、融資も申し込んでいる、引っ越しの準備もできている、借りている部屋の解約もしているとなると大変です。
下手すれば買主から損害賠償を請求される可能性も出てきますので、かえって高く付く場合があるわけです。
取引の基本中の基本です。所有者不明のままの状態の不動産を売却するというのは本人ではない他人の物を売るのと同じことです。
民法上、自分以外は他人という扱いですので、いくら配偶者や子供が依頼人であっても他人の物を売るということに変わりはないため、十分な注意が必要になります。
これをミスってしまうと最悪の事態になる可能性もありますので、そうならないように不動産業者が仲介に入る場合、「大丈夫ですよ」と軽々しく言う営業マンは要注意です。
相続登記、そんなに何十万もかかる費用ではありませんので、相続が発生した時点で行うことをお勧めします。