世の中に2つと無い物件,お客さんが同時注文してきた場合はどちらが優先?
つい先日のお話ですが、経験が浅い不動産屋の社長から連絡がありました。
普段から懇意にさせていただいている社長からでした。
「先日、ある不動産会社が持っている物件を案内予約入れていたんだがね。さっき連絡があり、『もう申込書をもらったんですいませんが2番手になります』と言われたんだ。どうも納得いかない。こっちが先に予約を入れていたのに」と憤慨されていました。
案内予約に優先権は無い
私は即座に「それは得てしてよくあることですよ。予約して直ぐの案内であれば良かったが数日空いてしまうとその間、決まる可能性は十分にあるので、それは仕方のない事ですね」とアドバイス。
それでも気が収まらない社長、「それでも先に予約を入れていたのは私の方だから優先させるべきではないの?少し意地悪ではないの?」と言われました。
私は「それはあくまでも予約なので、決まったわけではない。管理会社としては先に申し込みが入った方を優先させるのが当たり前で、それが何よりも大家さんのためでもあります。決して意地悪ではなく連絡してきただけでも良い事。我々の存在意義はあくまでも貸主(売主)と借主(買主)のサポートをする立場、それを大前提に考えれば申込み順は当然の事ですよ」と。
社長は「それでもねぇ。何度も明日案内予約を入れていたのだから優先させるべきなのでは?」と。
私は「それは中立の立場から言わせてもらえば違います。それは´案内予約を優先´というだけであって申込むかどうか分かりませんよね。貸主の立場で言えば申し込みが最優先なので、案内予約をどれだけ先に入れようと先に申し込みを入れたほうが優先に決まっています。明日案内したからといって決まるわけでもないでしょ?」と。
世の中に同じ物件は2つとない
賃貸アパート等で同じような物件がいくつも空室の場合、「1つが決まったので残りのお部屋でお願いします」というのはよくあることです。
特に繁忙期である2月、3月はよくあることで、タッチの差で決まる場合が多いです。
しかし、世の中に売り物件と言われるものは世の中に2つとしてありません。
それまで全く問合せすらなかった物件に限って2つの案内が入り、2つとも前向きになるという事もあるんですね。
それは片方が買う気がなかったとしても、「じつはもう一方のお客さんが前向きに検討されている」というだけで人間というのは「他人に取られたくない」という心理が働き、同時に購買意欲が湧くものです。触発されるのでしょう。
ほんの少し前向きだったのが、突然のように前のめりになる場合があります。
そんなときに困るのが我々仲介業者です。
貸主(売主)は早く決まったほうが良いに決まっていますので、「早い方で且つ条件が良い方」といいます。
最終的な判断は売主(貸主)が決める事
仲介業者である不動産屋は間に挟まれ、´あぁ同じ物件が二つ並んでいたら良いのになぁ、もったいないなぁ´という気持ちになりますが、こればかりはどうしようもありません。
買主はどちらか一人に絞られます。
当然ながらどちらが条件が良いのかを見極める判断が必要となりますが、まったく同じ条件の場合はどうするのか?
そうなると「売主(貸主)さんの判断に委ねます」と伝えるしかありませんし、それが事実でもあります。
「同じような条件のお客さんが2組ついてしまいました。我々が決断する訳にはいきません。どうしましょうか?」と。
すると、売主(貸主)さんから「じゃぁ〇〇さんの条件が良いからこちらにしよう」となり、それで決まりです。
その最終判断というのは、それに早いも遅いもないんですね。
あくまでも条件や入居者の属性によって決まるもので、必ずしも「1,000円高いからこっち」という単純なものでもありません。
2組かぶった場合の判断、どちらかには泣いてもらうしかない訳で、本当にもったいないですが仕方ありませんね。