物件状況報告書・設備表とは売主が買主に対して行うもの,ご存知でしたか?
売買契約書を取り交わす際、「物件状況報告書」という書類があり、それには物件について知り得ている情報を売主が記載するもので、仲介に入る不動産業者はその書類に基づいて買主に説明する義務があります。
その書類がきちんと成されて、それを契約時に売主買主双方が納得したうえで双方が署名捺印をするもので、そこに不動産業者の印鑑は不要です。
売主しか知らない事を記載してもらう書類
つまりは、売主が知り得ている情報、例えば土地に関して言えば、越境物、埋設物、土壌汚染等があるかないか?、近隣紛争や嫌悪施設があるかどうか?売主しか知り得ていない情報を記載してもらいます。
建物に関してはどこかに故障・不具合がないかどうか、たとえば雨漏り、シロアリ、給排水の故障等があるかどうか?特にお隣さんとの紛争がないか?等々
そういった内容が一覧となった書類であり、我々不動産業者は見てわかるものであれば当然ながら調査をして記載しなければなりません。
売主が言うことを真に受けて、「知らない」と言っているから「知らない」と丸印だけを付けるのは調査怠慢であり、後で「ちゃんと見ておけばこんなことにはならなかった」といった問題が発生した場合、まず不動産業者が叩かれます。
居住中物件と空室物件で扱いが違う
売主がその家に住んでいたかどうかによって扱いは変わってきます。
最近まで住んでいたのであれば直近の内容が分かりますが、もう何十年も住んでいなかったとなると「分からない、知らない」という反応があるでしょう。
その際、我々は売主の説明が不十分であることを前提として自ら調査を行うべきであり、それを怠った場合、媒介契約上の調査説明義務違反に該当します。
売買契約書の中にも、「本物件の状況等を別紙物件状況等報告書に記載して説明する」という規定があります。
売主には告知する義務がある
過去の判例で、「媒介業者(不動産業者)は、売主から説明があったとしても、不動産取引の専門家として自らの調査をすべきであるとしており、その一方で、売主についても、売買契約書の中で「売主の説明義務」に係る規定があることを踏まえると、売主から買主へ交付される「告知書」や「設備表」等の内容のに係る責任は、売主が買主に対し直接負うものであり、媒介業者に説明済みだからといって軽減されない」としています。
つまり、売主が「不動産業者にちゃんと言っていたのですが」と後で言っても売主は責任を負わないといけないということになるのです!
何と理不尽な!と思われる売主も多いかと思いますが、告知書に判を押すというのはそう事で、そこに不動産業者の押印不要な書類であれば尚更で、きちんと伝えたということを不動産業者は書面にちゃんと書いているかどうかを売主はチェックする必要があるという事になります。
その一方で、売主の告知というのは曖昧なケースというのも想定されますので、不動産業者としては安全安心な取引の実現を図る専門家の立場として、しっかりとした調査を果たすことが使命といえます。
皆様、ご注意を。