相続発生時、相続登記は必要?ほとんどしないのが現状です
相続物件の査定依頼を受けた際、相続登記をまだしていないというのがほとんどです。
これはごく当たり前のことでもあるんですね。
数年前に相続の手続きは終わっているが、亡くなった親が所有していた不動産に関しては、親の名義のままで放ったらかしにしているというケースです。
何故登記をしないのか?
何故放ったらかしにしているのか、その理由は簡単です。
- する必要がないから
- 生活に支障がないから
- 売ることを考えていなかったから
- お金がかかるから
- 面倒くさいから。
それが、いざ売却という時にだけ問題が発生してきます。
相続登記をしないことには、その土地建物等の売却をすることができないからです。
所有者が亡くなっているということは、名義がその方ですので、この世に存在しない以上、所有者の承諾がない、つまり所有者が不明の状態だからです。
司法書士が受け付けない
これでは実際に実務上で登記をしてくれる司法書士が受け付けてくれません。
なので、相続登記なるものを事前することで、所有者を確定させることを大前提で売却活動を行います。
不動産業者が「相続登記以前でも大丈夫ですよ。買主さんが見つかって契約が済んでからしても問題ありません」という回答がきたら要注意です!
ひょっとしたら大変なことになり、売主様に賠償責任が出てくる可能性があります。
売却活動自体が不可能
普通に考えればわかることですが、亡くなった方には相続人がいます。天涯孤独でない限りは。
その相続人がその不動産を話し合いによってどうするか決めるわけですが、そこで、相続人の1人が「いや売らないよ」と言って判を押さない場合、相続登記そのものができなくなります。
そうなると、その土地建物を誰が相続するのが不明な状態になります。
そんなときに既に買主さんが見つかっていて契約もしているとなれば買主さんとしてはたまりません。
「所有者が売らないといっているものを何故売っているんだ!」と大クレームが発生します。
これは極々基本的なことですので、媒介を受ける前に「相続登記を行ってください」というアドバイスが必要になってきます。
営業マンには要注意
営業マンの身勝手が媒介(売主との契約)を急がせる傾向にあります。
「ノルマが厳しい」とか、そんな事は当事者には一切関係はありません。
リスクを最小限に食い止めて取引をする必要があります。
それと、最初に相続登記を済ませる理由の一つとして、本当に相続登記がうまくいくのか?という懸念があります。
相続人は原則的にはご家族です。
極稀に相続登記ができない可能性が?
法定相続人は配偶者であったり、子供であったりしますが、極稀に「隠し子」が表面化されたりします。
この確率は10件に1回です。これは非常に高い確率です。
その認知された隠し子が普通に付き合いがあって判も押してくれる仲であれば良いのですが、その方が音信不通であったり、「判押し料」などというものを要求してきた場合がなかなかスムーズにいきません。
判押し料であれば僅かのお金を支払えばよいのですが、音信不通というのがまずいです。
権利のある相続人から承諾が得られないのですから。そもそも論として売る事自体が難しくなってきます。
100件に1件の割合であれば多少のリスクは目をつぶっても大勢にあまり影響がないかもしれませんが、10件に1件となればこれはリスクを最小限に抑えないといけません。
ご注意くださいね。