数十年前の近隣での殺人事件は訳(ワケ)あり物件として告知義務はある?
先日の査定案件ですが、佐賀県三養基郡みやき町(旧北茂安町)で25年~30年前に起きたある1件の事件です。
小学生の女の子が連れ去られ、ある場所で命を落としたという何とも痛ましい事件です。
私は10数年前にそのことを知りましたが、近所で物件を預かった際にその話が売主から出てきました。
「この付近ではないが〇〇町は昔ある事件が起きてねぇ」といったもので、その事件の事で、今回初めて場所が特定されました。
地方であればあるほど風化しにくい
事件が都会であればあるほど人の入れ替わりが激しく、何かの事件が起きても数年も経てば近所の人は誰一人としてその事件の事を知らないということになります。
そうなると完全に風化状態となりますので、年数と共に告知義務も薄れ去っていくことでしょう。
しかし、地方であればあるほど、古い家を代々受け継いでいく風習や文化があるため、「言い伝え」という現象が起きます。
なので、本来であれば今回も周辺環境は緑に囲まれ、のどかで閑静な住宅地になる予定だったはずの場所、それが一瞬にして「あの町は治安が悪い地域」と化します。
それは我々にとっても大きな痛手ですが、それよりもっと痛手を被るのは所有者と近所の人です。
被害者は顔見知りであっても、加害者は見ず知らずの人間だとしたら本当にとんでもない話です。
今回の現場の詳細は明かしませんが、犯人が未だ捕まっておらず、現場となった場所は今では木がすべて切り倒され、何事もなかったようにお花畑のようになっていて無数の蝶が舞っていました。
告知義務は当然ある
通常の交通事故等であれば告示義務はないと思われますが、今回は明らかな「事件」ですので、故意ではない「事故」とは性質がまったく異なります。
なので心理的な瑕疵(欠陥)が周辺にあるというのは物理的な瑕疵と同様、「気にされるかどうかは分かりませんが昔このような事が起きています」とサラッと告知する義務はあります。
あとは買主さんが判断する事です。
でないと周辺の知ったかぶりの人達がわざわざ言いに来ます。そうなると大きなトラブルになりますから。
事が起きてから対策を打っていては遅い
よく現場を見ると、道路側には道に沿って切り株があり、明らかに昔はたくさんの木が生えていてジャングルのようになっていたと思われます。
それを事件後にすべて切り倒している様子がうかがえました。
そして、その横は墓地になっており、その一角にプレハブ小屋が設置されていました。
その前を通ると、中には二人の年配の女性の姿が。
少し入り組んだ場所にあるため、通学時間帯にだけ待機していると思われ、看板も設置されていて「子供相談所」となっていました。
おそらく事件後に設置されたと思われ、道路沿いには街灯も電柱に設置されている様子でした。
普段は人気のないような場所、犯人はそれを知っていたとも思われ、もし数個の街灯だけでもあればひょっとしたら未来ある子供1人の命が助かっていたのかも知れません。
事件が風化しないというのはある意味「事件を忘れない」ということでもあると思いますが、このような場所はどんなに田舎であったとしても何らかの対策を打つべきなのではないかと思います。