本人確認は媒介時の鉄則,怠ると悲劇に!買主側に迷惑がかかった事例とは?

トラブル・クレーム解決事例

だいぶん前の話ですが、私の勤務先で上司(以下Y氏と称す)の移動に伴い、そのY氏から引き継いだ物件に関するトラブル事例をご紹介します。

結構トラブったんで、そのY氏が今どこで何をしているか分かりませんが、10年も前の話ですのでそのY氏に向けて発信したいと思います。

小郡の一部の地区は墓地が多かった?

小郡駅から南へ直ぐの住宅街、そこは昔、墓地が数多く点在し、今でも個人宅の一部に墓があったりします。

私が今事務所を構えている長門石は住居表示(丁目)が殆どですが、少し外れた場所にある長門石町では自宅の敷地内に墓地がある所が何ヵ所もあります。

そのトラブルの発端となった小郡の土地は元墓地(雑種地に変更済)で、その影響からかもう2年以上も売れず、雑草が生い茂り、立てていた看板さえも見えないくらい放ったらかしにしていました。

当然、担当していたY氏は「売れない」と悟って売主への連絡など定期的にするはずもなく、放ったらかし状態でした。

当時、半期毎に移動が多かったN不動産ではY氏の移動に伴い、私が担当に指名されていました。

私は売主の名前しか知らず、依頼人との付き合いの長かったY氏に全て託していたのが私の悪い所でもありました。

買付証明受託後の後で大問題が発生

ある日、その土地を見つけた買主、建設会社からの連絡により「ぜひ買いたい」との要望があり買付証明(購入申込書)なるものをもらいました。

私はY氏に報告すると、喜ぶかと思いきや何やら不穏な印象、「あぁ連絡しとくよ」とのこと、しばらくして折り返しの連絡があると、嫌な予感が的中!

「ごめん、じつは依頼者と名義人が違っていて名義人が何か言っているらしい、連絡先を言うので連絡してくれないか」とぶっきらぼうな対応。

私は偉い立場のY氏に対し「何か言っているとはどういうことでしょうか?売るという意思はあるんでしょう?」と聞くと、「あると思うが長く連絡を取っていないためよく分からない」とのこと。

私は「はぁ?一度会わせてください」と申し出ると、「勝手に連絡したまえ」との横暴な態度。

私はその依頼人に連絡すると、「名義人が入院していてね、売れたことは伝えてはいるが手数料を払わないと言っているんだ」と。

私は「えっ?Y氏と媒介契約書を交わしたのではないんですか?手数料がないと我々は何のためにやっているのか分からないんですよね」と言うと、「そういう理屈が通用する名義人ではない」とのこと。

私はこのままではタダ働きになることを恐れ、Y氏に上記内容を説明し、後日会う事になりました。

長く連絡を怠っていたことが原因

Y氏同行の元、名義人が入院している病院にて面談するも、依頼人が言う事と同様、「手数料は知らない」と他人事、呪文のように唱える名義人にもう限界でした。

Y氏に「媒介時に本人と連絡は取っていたのですか?本人確認ほど重要なことは無いのではないか?それをしなかったのでは?」と問い詰めると、「それは依頼人から『大丈夫』と聞いていたので俺も信頼し切っていた」と言い訳タラタラ。

Y氏からは謝罪の言葉も聞かれず、これからの展開をどうしようかと考え、買主に「申し訳ない、いろいろと問題があり、40万だけ物件価格を上げてくれないでしょうか?」とお願いすると、「はぁ?それは何かおかしいのでは?でもそれでしか買えないのであれば仕方ない」と最後は納得してくれました。

買主からは文句を言われ、建設会社からも最後の最後まで嫌味を言われる始末。とんだ災難でした。

ということで、何ともお粗末なY氏のこれまでの対応、本人確認を怠ったために起きた悲劇のお話でした。

皆さん、依頼人の言葉をすべて信用せず、ちゃんと本人確認はしましょうね。

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