普通に見える中古住宅,しかし調査すると驚愕の事態発覚!車の出入不可能?

トラブル・クレーム解決事例

先日の住宅所有者からの相談案件でした。どうやって処理したらよいのか、私自身がかなり悩んでおります。

「建物は古いが売りたい」との相談だったため、喜び勇んで現場へ急行しました。

建物は少々古いですが、まだまだ 使えそうな雰囲気、重大な瑕疵(欠陥)も見当たらず、売主希望価格で売れそうな予感でした。

一見すると、な~んの変哲もない中古住宅、ですが問題がただ一つ、道路づきの問題です。土地を売るにあたり、重要なことは権利関係です。

権利と一言で言っても様々な権利がある

  • 建物を建てる権利
  • 通行できる権利
  • 水道管、下水道管を使用する権利
  • 電線(空中)を使用できる権利
  • 他人の配管等を使用させる権利 等々

その他、本当はもっとたくさんあるのですが、ここでは割愛します。

物件を売るときに初めて問題になる

土地・建物を売却するときに初めて出てくる問題であり、売主から「そんなの今までな~んも問題なかったよ、なので問題ないよ」と抵抗されて、「あぁそうでしたか、じゃあ問題ありませんね」などと返したら不動産屋としては論外です。「失格」はまだ良く、それより最悪なのが「論外」です。

売主が言うことを鵜呑みにして調査を怠ったがためにトラブルになっては、我々不動産仲介会社は何の存在意義もなく、存在が犯罪です。

実際に売却するに当たり、権利関係は超重要事項です。

重要なことほどややこしいのが世の常、そのややこしくて面倒くさい事をやるのが不動産屋の仕事でもあります。

今回の件は角地で、片方は市道のため何も問題なし、ですがもう一方が私道で所有者に持ち分なし、そこまでは問題はありません。

市道にさえ面していれば将来の建て替え(再建築)は出来るわけですから。

当時の建て方と売り方に問題が

では何が問題なのか?本物件の駐車場が私道側に面しており、その私道を通らないと車両の出入ができないということです。

そう聞いただけでまいりましたね…。ようは人の土地を通らないといけないということですが、それまでは売主自身、普通に通行していたようで、持ち分を所有している奥の2件の方とも特に問題なく仲良くされていたようです。

ですので尚更、売主としては「仲が良いから大丈夫よ」とさらっと言いのけるのです。

昔の分譲地ということで、そもそも通常では考えられない建て方をしているからこういう状況になっているのです。

普通に考えれば市道側に駐車場を持ってきて建物を配置して建築すれば良いわけで、そうすれば私道の持ち分は不要です。

解決方法はどうしたら良いのか?、答えは5つ

①私道の持ち分を持っている方に100分の1でも1000分の1でも良いので、いくらかで持分を譲ってもらう
②持分を所有している双方から通行承諾書をもらう
③解体して土地として売る。
④解体しないで土地として売って、買主には事情を説明する。あとどう使用するかは買主の自由(私道を通行しなければ問題なし)
⑤何もしないで売る、案内時に「私道を通らないと車の出入庫ができない、建物が古いため、将来の建て替えの際、市道側に駐車場を配置して建物を建てれば良い」と説明する

それを約1時間かけて売主に説明すると、「困りましたねぇ。でも〇〇〇万はほしいからねぇ」と。

´この期に及んでまだそんなこと言っているの?´と少々イラッとしながらもグッと我慢、ベストなのは①の持ち分を譲ってもらうこと、これは将来トラブルに発展しないためのアドバイスであり、②でも良いのですが、少し弱いです。

我々の仕事はお客様目線である事は当然のことで、万が一、持ち分の所有者であるお二人が「通らせないよ」と言ったらアウトなわけです。

今の所有者が「通ってもいいよ」と承諾したとしても、代が変わって相続人から「はぁ?」と言われて書類もなかったらアウトです。

そうなると買主から苦情が来てトラブルに発展します。なので、⑤の選択肢も有りなわけですが、それで買主が納得するかどうかの問題です。

ちゃんと事情を説明して納得さえしてもらえれば良いわけで、売主買主が合意の上での契約は自由です。

③④は土地として売るわけですので、土地代だけです。そうなると売主希望価格には及びません。それは売主が納得しませんので、やはり①か②か④になるわけですね。

ベストである①を勧めると、売主は「それを言ってしまったら足元を見られて金額を吹っ掛けられる可能性があるので、とりあえずは④でお願いします」とのこと。

それにしても昔の分譲地、そして昔の建築会社、適当ですねぇ、でも聞くところによると、このような土地は世の中にたくさんありますよ、怖っ!

皆さん、気を付けましょう。

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