分譲マンションを間違えて案内?危うく大クレーム・大トラブルに!

トラブル・クレーム解決事例

もうだいぶ前の話にはなりますが、分譲マンションの問い合わせがあり、喜びのあまり大きな失敗を犯してしまった話をご紹介します。

まず、そのマンションは久留米市の中心部にある築後10年は経過しているであろう物件で、たまたま同じマンション2戸を預かって販売していました。

A・・・10階部分 約100㎡ 1,500万

B・・・  8階部分 約  70㎡    980万   という内容です。

当然、分譲マンションですので、売主(オーナー)は別で、鍵も支店内で管理していました。

中古マンションの媒介、棟内で同じ仲介会社の媒介は稀?

じつはこういったケース(2戸同時)というのは極々稀で、売主様というのは同じマンション棟内で別に売りに出ているかどうかという事に関して非常に敏感で、別戸が売りに出ていた場合、その先に出している不動産仲介業者には通常はあまり依頼しないものです。

私がその時に勤務していた会社は一応名が通っている社名だったたせいか、信頼があったのか何か知りませんが、査定依頼があったわけですね。

そして、社内にそのとき営業マンが私の他に一人いて、その営業マンがその双方の物件を担当していたわけです。

そのせいにしてはいけませんが、私は2つの物件をよく把握しておらず、担当者に任せっきりにしていたんですね。

そしてあるとき1本の電話が鳴り、「〇〇マンションの980万の物件(B)を今から見たいのですが」とのこと。

物件を間違えて案内

担当制だったため、その営業マンとの連絡が付かない状況だったため、「わかりました。私が案内いたします」と伝え、何故か分かりませんが、広いほうのAの鍵を持って現地へ向かいました。

そのとき何故Aの鍵を持って行ったのか理由が分からず、「思い込んだら系」の私はそのマンションでは´Aしか預かっていない´と思い込んでいたようです。

私はAの物件を案内すると、お客さんは開口一番「広いですねぇ!そして安い」と。そりゃそうです。広くて高いほうの物件を間違えて案内しているわけですから。

そして、即答がなかったことが幸いし、「後で返事しますね」と言われ、「よろしくお願いします」と返答して別れました。

帰社後に間違いに気付く

そして帰社後、事務員さんから「どうでした?」と聞かれ、「なかなか反応が良かったですよ」と答えると、「少し狭いですけど良いマンションですよね」と言われ、「ん?広かったですよ」と答えると、「あのマンション二つ預かってますよ」と。

私はそこでハッ!と思い出し、「え~~!!!間違って広いほうを案内してしまった!」と大慌て、急いでお客様の携帯に連絡して、「すいません、間違えて広いほうを案内してしまいました。本当に申し訳ありません。再案内をしたいのですが」と伝えると、「あぁそうですか、それでも場所を気に入っているので買おうと思っています、では明日案内をお願いします」とのこと。

私は電話なのに深々と頭を下げて「ありがとうございます!」と伝え、翌日、菓子折りを持参し、お客様と会ったときに手渡し、「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪すると、「いいですよ」と快く笑顔で応対してくれました。

そのときのお客様の笑顔を私は忘れません。一歩間違えれば大惨事ですからね。

お客様によっては大クレーム・大トラブルに発展する

本件、お客様が寛大だったので良かったようなものの、それは結果論、汚れようと思えばこうなります。

「はぁ?私は狭いほうのBの物件を見たいと伝えたのに、おまえが間違えて広いほうのAを見せたんだろ?じゃあAを980万で売るのが筋じゃねぇのかよ!」と。

Aは広いので1,500万です。その520万の差額をどうするのか?という問題に発展した際、会社としてはどう対応するのか?

民法では錯誤という法律がある

民法的に言えば、誰が見ても明らかに間違いと分かる行為は「錯誤」と言って無効になることがあります。

例えばチラシ広告などで、2,000万を間違えて200万と表記してしまった場合などです。これは誰が見ても間違いですので、錯誤無効が適用されます。

では私の今回の場合はどうなのか?ということですが、520万の差額ですからね。微妙な額ではありますし、広さからしても100㎡と70㎡の区別を客観的に見て区別できるかどうかが争点になると思います。

結果論としては、「これで良いので話を進めてください」と最後におっしゃってくれ、無事契約まで進んで一見落着したので、事無きを得ましたが、本当に気を付けないと大変なことになりますね。(怖っ!)

その時の寛大なお客様

その時のとっても寛大なお客様、じつは西鉄久留米駅構内のバスターミナル内の前にあった角打ち居酒屋のオーナーでした。

その一件後、会社の同僚と共に一杯飲みに行きました。気軽に立ち寄れてお客様も多く、とっても繁盛している様子でした。

しかし、最近通ったのですが、今は別の店に変わっているようですね。残念…。

人柄もとってもよく、またいつかどこかでお会い出来たら嬉しいです。

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