坪5万でも売れない土地?久留米市の市街化区域で起きた意外な盲点とは
不動産は「高い・安い」だけで判断できるものではありません。
例えば、車や宝石などは、年式やスペック、鑑定書である程度の価値が明確になります。年式が古ければ安く、新しければ高い。走行距離が少なければ高く、多ければ安い。
そういう比較的わかりやすい評価基準があるため、売れ行きにも納得感があります。
しかし、不動産はまったく別物です。
一見似たような立地でも「売れる土地」と「売れない土地」がはっきり分かれます。
売れない理由とは
今回は、久留米市A町。
れっきとした市街化区域の住宅地に位置する土地です。
しかも価格は坪5万円台。市街化区域としては破格といっていい金額です。
それでも…売れません。
なぜか?
いろいろと調べてみたところ、思い当たる点は「道路が少し狭い」「土地の形がやや不整形」くらい。
どちらも、価格で十分カバーできているはずでした。
しかし——
実は、もっと重要なポイントがありました。
それは、「土地の高低差」です。
一見平坦に見える土地も、実際にはわずかな傾斜がありました。
建物はもちろん水平に建てなければならないため、その傾斜を補正するために、土地を削る必要があります。
削った土地には、当然擁壁やブロック補強が必要になり、追加費用が発生します。
また、削らずに建物だけを水平にする場合、「深基礎」という方法を取らざるを得ません。これまた費用がかかります。
目に見えない費用
つまり——
「安くても、建築費用が高くつく土地」なのです。
土地そのものの価格が安くても、建築費用が膨らんでしまえば、結局トータルコストが上がってしまいます。
買主様にとっては、価格の安さ以上に、建築時の不安要素がネックになるわけです。
このように、不動産は「価格が安ければ売れる」という単純なものではありません。
むしろ、目に見えない“問題点”があるから安くなっているというケースがほとんどです。
今回はほんのわずかな傾斜でしたが、それが決定的な“売れない理由”でした。
みなさんも、「価格が安いからラッキー!」と思う前に、
一度立ち止まって、「なぜその価格なのか」を冷静に見極めてみてください。
必ず「理由」があります。
そして時には、その理由が見た目では分からないこともあるのです。
皆さん、ご注意ください。