衝撃の権利的瑕疵,大昔の抵当権が登記上残っていた!その解決法とは?

トラブル・クレーム解決事例

先日の紹介案件、後で分かった衝撃的な瑕疵(欠陥)についてお話をします。

解体業者さんからの紹介物件だったのですが、昨年末辺りから現地を案内され、その時にはまだ古い建物が何件も残っている状態で、図面も何もなかったため、場所を案内されただけで終わっていました。

その建物は所有者が当然いて、別の第三者に貸している借家でした。

その第三者も夜逃げしていなくなり、所有物を処分するための裁判費用等にも多大なお金をかけ、ようやく解体にこぎ付けた経緯があったようです。

簡単には売れない物件

解体業者からはその後何度か交流があり、2月頃連絡を受けた際、「これから解体します。解体が終わったら売却をお願いします」という内容でした。

そして先日、解体中ではあるものの、業者から連絡があり、「所有者と会いましょうか?」ということで快諾。

物件近くにお住まいの所有者宅へ行き挨拶、事の経緯を確認し、今後の様々な諸事情の打ち合わせをしました。

「今日の今日で調査もまだ行っていないため、後日、再度連絡します」と告げて辞去しました。

そして、翌日、パソコンの登記識別情報を開いて当物件の登記簿謄本を取り付けてみると、驚愕の事実が判明しました。

謄本には甲区と乙区というのがあり、甲区は所有者情報、乙区には権利情報が記載されています。

登記簿の乙区欄に衝撃内容が!

その乙区欄には抵当権といって物件が担保に入っている詳細な内容が記載されており、通常であれば、ローンが残っている場合、その残債額を売れたお金で支払って抹消して引き渡すのが一般的です。

ローンが残っていなければ抹消も何もありません。

今回の物件は前者で、ローンの残債が残っているのかどうかは不明ですが、その設定日付に驚きました。

な、なんと明治39年(1906年)に25円という債権額で、個人と思しき人が当時の所有者に金銭を貸し付けていたのです。

しかもそれが抹消されていない!これが一番の問題でした。

個人がお金を貸して担保に取ろうと何だろうと問題はないのですが、返済が終わったら終わったで登記上から消さないといけません。それを放置した状態で100年以上も経っている訳です。

売却するにはどうする?

これを売却するにはこのままの状態では売れない訳です。担保に取られている訳ですから。

「お金は当然返されているからいいのでは?」と思いがちですが、登記に残っている以上は書面上から抹消しないといけません。

そのためにはお金を貸していたと思われる債権者からの同意が必要となり、もう生存していないであろう債権者、その相続人をすべて探し、了解を得る必要がある訳ですね。

でないと、それを他人(債権者以外の人物)がそう簡単に担保を消すことができたら借りたい放題の世の中になってしまいます。

そして、相続人がすべて判明したとしても、その中で1人でも「なんで先祖がしでかしたことに協力しないといけないんだ、面倒なんで嫌だ」と言う人が現れた場合、99%アウトです。

残り1%は弁護士を立てて内容証明書を送って強制的に職権で抹消させるという方法ですが、そうなるとかなりの長期戦になります。

解決策としては所有者に頑張ってもらう

ここまでくるとですね。我々不動産業者としては事実のみを説明し、「登記の専門家である司法書士への相談をお願いしてください」とアドバイスをすることしかありません。

もし相続人がたくさんいた場合、それこそ数十人と膨れ上がっていた場合、その全てを探しださないといけないわけで、膨大な時間と労力と費用が必要です。

先に解体屋さんに頼まれてしまった所有者、もうすでに1棟は解体してしまっている現状、そして売るに売れない物件、更地にすると固定資産税も上がります。こうなると最悪です。

やはりこのような場合は先に我々のような広い知識を持った不動産屋に依頼することが重要ですね。

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